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第2章は、資産の価格付けの最も基本的な概念から始まる。しかし、その前にこの序章での重要な点をまとめておくべきだろう。

大企業は通常、株式会社として組織される。株式会社には、3つの重要な特徴がある。第1に、会社はその所有者とは法的に別個の主体であり、自らの税金を支払う。第2に、株式会社は有限責任であり、このことは、株式会社を所有する株主が企業の債務について責任を負わされることはないことを意味する。第3に、株式会社の所有者は通常は経営者ではない。

財務担当者のすべての責務は、(1)会社の投資ないし資本支出予算の決定、および(2)会社の資金調達の決定、の2つにわけられる。つまり、企業は、(1)どの実物資産を買い、また、(2)どのようにして必要な資金を調達するか、を決めなけらばならない。

小さな会社では、財務部長という1人の財務担当経営幹部がいるだけということも多い。しかし、たいていの会社には財務部長と経理部長の両方がいる。財務部長の仕事は、会社の資金調達を行い、それを管理することである。他方、経理部長の仕事は、資金が正しく使われていることを確認することである。大企業には、最高財務責任者(CFO)もいる。

株主は、経営者が会社の株主の価値を増加させることを望んでいる。経営者は異なった目的を持っているかもしれない。この潜在的な利益相反は、プリンシパル・エージェント問題と呼ばれる。こうした対立の結果とし手価値の喪失が生じれば、それはエージェンシー・コストと呼ばれる。もちろん、他の利害の対立もあるかもしれない。例えば、株主の利益は、時として、銀行や社債保有者の利益と対立するかもしれない。こうした問題や他のエージェンシー問題は、エージェントがプリンシパルと比べてより多くの、ないし、より良質の情報を持っているときにはう一層複雑になる。

財務担当者は世界を舞台に仕事をしており、国際金融市場の仕組みや海外投資の評価手法についても理解していなければならない。これからの章の様々な場面で、コーポレートファイナンスにおける国際的な問題についても論じてゆく。
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