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事業を行うためには、会社は実に多様な実物資産(real asset)を必要とする。これらの資産の多くは、例えば、機械や工場やオフィスのように有形である。その他の資産は、技術上の専門知識や商標や特許のように無形である。それらすべてについて、支払いがなされる必要がある。必要な資金を手に入れるために、会社は実物資産とそれが生み出すであろう現金に対する請求権を売ることになる。これらの請求権は、金融資産(finanncial asset)、または有価証券(secuity)と呼ばれる。例えば、もし会社が銀行から資金を借り入れば、銀行はその資金が金利付で返済されるとの書面での約束を得る。このようにして、銀行は現金と金融資産とを交換する。金融資産には、銀行の融資のみならず、株式、債券、そして、目がくらむほど多様な特別の証券が含まれる。

財務担当者は、会社の事業運営と投資家が会社により発行された金融資産を保有する金融市場、あるいは資本市場(finanncial or capital market)との間に位置している。財務担当者の役割は、投資家からの会社へ、そして再び投資家に戻るという資金の流れを追った。資金の流れは、会社が現金を調達するために証券を売ることから始まる。資金は、会社の事業で使われる実物資産を購入するために使われる。その後、会社がうまくいけば、当該実物資産は初期の投資を返済して余りある現金収入を生み出す。最終的に現金は再投資されるか、または、当初発行した証券を購入した投資家に返される。もちろん、この関係は完全に自由ではない。例えば、もし(1)の段階で銀行が資金を貸した場合には、その資金は(4b)の段階で金利付で銀行に返済されル必要がある。

以上から、財務担当者の二つの基本的な課題が再び想起される。すなわち、第1に、会社はどの実物資産に投資すべきであろうか。第2に、その投資のための資金はどのようにして調達されるべきであろうか。第1の課題に対する答えは、会社の投資ないし資本支出予算(capital budgeting)の決定である。第2の課題に対する答えは、会社の資金調達の決定(financing decision)である。

投資の決定と資金調達の決定は、典型的には分離して行われる。すなわち、両者は独立に分析される。投資機会あるいは「プロジェクト」が特定されると、財務担当者は、まずそのプロジェクトに投資金額に見合う以上の価値があるかどうかを考える。価値があるという答えが得られれば、次に投資資金をどのように調達すべきかを検討する。

しかし、投資決定と資金調達の決定が分離されているということが、投資機会の分析の際に投資家と資本市場のことを無視できることを意味するわけではない。次の項で議論するように、企業の財務の基本的な目的は、株主が会社に投資した資金の価値を最大化することにある。矢印(2)に関する決定が矢印(3)で少なくとも適当な収益をもたらすときにだけ、株主は矢印(1)で現金を投資することに満足する。「適当な」とは、株主が金融市場に投資することによって得られる収益と少なくとも同等であることを意味する。もし企業のプロジェクトが継続的に抵当でない収益しか生み出さないのであれば、株主は資金を取り戻したいと考えるだろう。

大企業の財務担当者は、世界のことに通じている必要がある。彼らは会社がどの資産に調子すべきかのみならず、それらの資産がどこに位置すべきかもきめなければならない。ネスレの例を見てみよう。ネスレはスイスの会社であるが、スイスで行われる生産の割合はほんの小さなものに過ぎない。約520の工場は、82カ国に立地している。このため、ネスレの経営幹部は通貨、金利、インフレ率および税制の異なった国々への投資どのように評価するかを知らなければならない。

会社が賃金を調達する金融市場も、同じように国際的である。大企業の株主は地球上に散らばっている。株式は、24時間、NY、ロンドン、東京、そしてそのほかの金融センターで取引されている。債権や銀行融資は、簡単に国境を越えて移動する。資金を調達する必要のある会社は、自分の町の銀行から借りる必要はない。様々な国で生産もしくは販売を行う会社にとっては、日々の現金管理も複雑な任務となる。

ネスレは特別のケースだとしても、国際的な財務上の問題を気にしないでいられる財務担当者はほとんどいない。このブログでは、全体を通して金融制度の違いに注意を払い、国際的に投資や資金調達を行うことに伴う問題を検討する。

財務担当者は孤立して仕事をしているわけではない。さまざまな金融機関が発展して企業に資本を供給し、そのほかの多様な金融サービスを提供している。例えば、短期の借入れのために銀行を利用することもあるし、長期の借入れのために保険会社を利用することもあるだろう。投資信託や年金基金その他の投資家に追加の株式を売って資金を調達するかもしれない。株式の新規発行や合併の交渉に関してアドバイスを受けるために投資銀行と契約することもできる。財務担当者は、自分の要求がこうした金融機関からどのように見られるかをよく理解する必要がある。同様に、企業の必要を理解し、これを最大限満足させるために、金融機関の担当者も株式会社のファイナンスの原理を十分把握していなければならない。
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